2007年07月27日

槍ケ岳開山

新田次郎の小説「槍ケ岳開山」。

槍ケ岳を信仰の山として初登頂した、
播隆上人の半生を描いた物語である。


kaizan20070727-000.JPG


これを読んだのは学生の頃だったか・・・
ふと思い出して本棚から取り出して読み始めた。。。


ところは一揆の勃発した富山藩。
誤って妻を殺めた主人公岩松は、成り行きから出家、
修行の末、いつしか上人様といわれるような僧となる。

その半生のうちに、笠ヶ岳の再興を成し、その頂から拝んだ
前人未踏の絶峰、槍ヶ岳に挑むのである。

文中、こんな一節があった。

「・・・山の頂に向かって汗を流しながら
一歩一歩を踏みしめていくときには
 ただ山へ登ること以外考えなくなります。
 心が澄み切って参ります。登山と禅定とは同じようなものです。
 それは高い山に登ってみれば自然にわかって来ることです。
 なにかしら自分というものが山の気の中に解けこんでいって、
 自分がなんであるか、人間がなんであるか、
 なぜ人間は死なねばならぬか、そういった難しい問題さえ、
 自然に山の気が教えてくれるようにさえ思われてくるのです。・・・」

自分が山に登るときの気持ちのひとつとおなじだなぁ
と思うのである。

播隆上人は、俗人から出家し、このような実践の修行を積んで、
自分ではそれとも思わぬうちに、人々に崇められる僧となっていく。
煩悩と闘いながら、名号を唱え、岩窟に座り、
人々を安全に頂へと導くため
決死の覚悟で槍ケ岳の絶壁に鎖を懸ける。

一歩一歩がしらぬまに、3000mの頂に導いてくれるように。。。


kaizan20070727-000.JPG


さて、槍ケ岳の開山は、1828年、この播隆上人によって成されたが、
これは歴史としてはそんなに古くはなく、日本百名山の中では、
7世紀頃、役の行者によって開かれたとされる大峰山、
一番古くは蜂子皇子による月山の開山が593年だという。
(山と渓谷社「日本百名山地図帳」より)


いずれにせよ、何気なく登っている山も、
誰かによって道をつけられ今日に至っているのだ。

山頂からのご来光は感動し敬虔な気持ちになるが、
頂のみならず、その道を登らせていただいている自分。
ありがたく心の中で合掌しながら登らねば、
そして日々の一歩一歩もまた然り。

槍ケ岳を想い、山を想い、そんなことを考えていた。


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posted by げんさん at 07:42 | 東京 ☀ | Comment(6) | TrackBack(0) | オススメの1冊(山岳篇) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
げんさんが引用されてる一節・・・まさに、わたしがぼんやりと思ってたことでした。
わたしはいつも山に登らせてもらっているという気持ちで山に望みます。山がわたしを拒むときは、登っちゃいけないだろうなって。
ありがたいですよね。ほんと。

週末、楽しんできてください!
土曜日はお天気よさそうですね(^^)
Posted by まゆ太 at 2007年07月27日 12:30
>まゆ太さん
コメントありがとうございます!

 >山がわたしを拒むときは・・・

まゆ太さんを拒む山はないでしょうが(笑)
私はたくさん雪山に拒まれました・・・爆

でもこのような気持ち、忘れないでいたいものです。

明日、いや今日、半日ですが奥多摩の沢、
行って来ます!
Posted by げんさん at 2007年07月28日 00:52
はじめまして。
以前より拝見していました。

山での思い。
色んな事を山で教わっています。
何とは、言葉にならなくても実感としてわかるって有りますね。
逆に、そんな事は
難しいことじゃないって教わる事もありますが(´ω`)
Posted by じもら〜 at 2007年07月28日 16:01
この本、去年読みましたo(^-^)o
播隆上人のコースで槍ヶ岳に行きたい!!!
って思いましたね〜。
同じ景色を感じたいというか。

槍ヶ岳には同じコースで行けそうですが、
笠ヶ岳は廃道になったようです(涙)
Posted by あじこ at 2007年07月28日 23:11
>じもら〜さん
はじめまして。
コメントありがとうございます。

そうですね。
そんなに難しいことでもないことが
そんなときにわかった気になります。
いらないものがいろいろと削ぎ落とされていくからでしょうか。
Posted by げんさん at 2007年07月29日 23:19
>あじこさん
こんばんは。
コメントありがとうございます!

播隆上人のルートだと、一度蝶ケ岳にあがって、
一の俣に降りて・・・と大変だったのでしょうね。

笠ケ岳・・・・新穂高には何度も行っているのに、まだ一度も登ってないんです。
北アの他の山から見ると綺麗な形の山ですよね。
Posted by げんさん at 2007年07月29日 23:22
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