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2016年09月07日

船窪小屋へ

船窪小屋へ。

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北アルプスに残る、ランプの山小屋。
山小屋ごはんのおいしい小屋としても有名な、憧れの船窪小屋に、ついに訪れてきた。


ずっと昔から知っていたけれど、近くの針ノ木岳や、烏帽子岳には登ったことがあるけれど。
なかなか行けていなかった、船窪小屋。

扇沢から針ノ木岳へ登り、蓮華の大下りを経てたどり着くか、はたまた、烏帽子岳からアップダウンの多い、マイナーな尾根道を歩き通すか、梯子連続の急登 七倉尾根を登るか。
そんなわけで北アルプスを歩く多くの登山者も、なかなかたどり着かない船窪小屋。

今回は、その船窪小屋のお母さんの山小屋ごはんだけを目当てに、七倉尾根を登るのであった。

突然取れた金曜日の休みに、東京を早朝車で発って、9時すぎに七倉の登山口駐車場に到着。
平日だというのに、広い駐車場も8割がたうまっていた。

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山めしブランチ的に、かんたんに朝昼兼用の山めしをすませ、装備を整えて、七倉山荘前から歩き出す。

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山荘の目の前に、新しいトイレと、登山補導所がある。

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その前の黄色いポストが登山計画書の投函ポストなのだが、まさかにココへ郵便を入れる人はいるまい(笑)

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で、肝心の七倉尾根、船窪小屋への道を探したのだが、あたりに見つからない。
七倉のゲートの管理人さんに登り口を教えていただき、ゲートを通って橋を渡っていく。

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橋の途中から見上げた、七倉尾根の上部方面。
上空の天気はいいのだが、山の上はガスっているようだ。

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橋を渡りきると、トンネルの入口に右手へ入っていく登山道がついている。

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少し沢沿いの道を歩くと、黄色い道標。

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10:00 コースタイム6時間。
ここから、有名な、船窪小屋への急登が始まる。

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急な上に、木の根が多く、足の置き場が難しい。

早くも汗を滴らせながら、登っていくと、こんな標識が。

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船窪小屋まで標高差140m.毎に、案内してくれるらしい。
ということは・・・標高差、1400m.を登るということか。。。

ぐいぐい高度を稼いでいると、やがて2番目の標識が現れ、

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ここで最初の急登が一旦終わる。

さらに歩き続けると、前方にデカザックに長いロープまで背負った方がゆっくり登っている。
挨拶して追い越しをさせていただこうとしたら、

 どこまで?

と聞かれ、

 船窪小屋までです。

と私。

 あっ、もしよかったら、レタスを一個、小屋まで届けてもらえないだろうか?

とのこと。

 ザックの中に資材が一杯なもんで、重みで傷んでしまうといけないので・・・


今回は、小屋泊で、テントも食材もほとんど担いでいないので、ふたつ返事で引き受けた。
この方、道しるべの会、という船窪小屋をサポートするボランティアのメンバーさんだ。

少し広い場所で、レタスを受け取ろうとしたら、ゴソッとデカいスーパー袋を渡され、どう見てもレタス2〜3個に他の野菜も入っていそうだ。

 もし、はいるならいいかな?
 レタスだけでなくて、きゅうりも入っているんだけど・・・

思わず笑いながら、

 はいはい。喜んで。

ザックの一番上に、まだ余裕があったので、野菜の袋をいれて圧迫しないようにパッキング。
いきなりズシっときたが、小屋の方やお客さんの食べる新鮮な野菜だと思えば、何ほどのこともない。

 すまないねえ。助かるわ。
 ボランティアのKと言うんだけど、夕食までには着くつもりだと、小屋の人に伝えてもらえるかね。

伝言と野菜の袋を預かって、再び登りだす。

野菜の袋で、荷はズッシリ重くなったが、なんだか船窪小屋への距離が一気に近づいたみたいで、逆に心は軽くなった。
(やはりドMか・・笑)

いまや、ただの登山ではなく、使命感に燃え(笑)、ペースがさらに上がる。

はしごでどんどん高度をかせいでいると、

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11:00 唐沢のぞき。

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さらに登って登って、

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岩小屋。

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ここをひとのぼりすると、

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12:00 少しひらけた場所のお休み処、七鞍の森。

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これまでボトボトと滴り落ちた汗の分、水を飲み、アレに備える。

そして、6番目の標識に。

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ついに出た。
船窪小屋への道の試練どころ、鼻突八丁。

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これまでも、かなりの登りだったのだが、ここからは、さらに斜度が急になり、はしごの連続。

長梯子。

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続いて現れる、3連続梯子。

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息つく間もなく現れる、梯子の連続。

そして、まだまだ登る・・・

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正直、この7番目の標識が出たときにはホッとした(笑)

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このあたりで、樹林帯の切れ間から、稜線がチラチラ見えるのだが、残念ながらガスだらけ。

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道のところどころに、梯子につかう木材がデポされていて、ボランティアの方々が毎週のように急な道を安全に歩けるよう整備してくださっているのだ。
ほんとうに頭が下がる。

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やがて、森林限界が近づき、

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13:15 天狗の庭に出た。

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残念ながら、視界はゼロ。
期待していた槍ヶ岳の雄姿は見れなかったが、ココへ来てようやく北アルプスらしい涼風に吹かれ、急登でヒートアップしたカラダに心地よい。

目指す七倉岳方面の稜線は定かでないが、船窪小屋までのラストスパートだ。

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9番目の標識を過ぎ、

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道は稜線の横をトラバースしていく。

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ついに10番目の標識。

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道が稜線の反対側にまわり、ついに船窪小屋がガスの中に姿を現してくれた。

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14:00 船窪小屋到着〜

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七倉から4時間。
野菜の袋のおかげで、がんばれた(笑)

小屋の戸を開けると、小さな土間のすぐ前に、囲炉裏の部屋。
笑顔で迎えてくれたお母さんに、Kさんからの言づけと野菜を手渡すと、

 まあ、すいませんねぇ
 大変だったでしょ。とりあえずビールにする?

なんて、まるで久しぶりの田舎に帰ってきたみたいな錯覚に襲われる。
鈴木みきさんの本にあった世界そのままなのだ。

ほかのスタッフの方々も、厨房から顔をのぞかせては、大変でしたねとか、ありがとうと、口々に声をかけられ、のっけからアットホームな小屋の雰囲気に、すっかり心もトロけてしまった。

お母さんのいれてくれた熱いおいしいお茶をすすり、受付をすませてとりあえず小屋の奥の部屋にいこうとしたら、ありました。

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みきさんの本。
あれを食べに、この山に行ってきました: 食と酒の山紀行

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この後、ザックを部屋に置いて、外のベンチでビールと読書など。

今回は、こんな本(スイス人が教えてくれた「がらくた」ではなく「ヴィンテージ」になれる生き方)を持ってきたのだけれど、(とってもいい本なのだが)本に書かれている素晴らしい言葉よりも、Kさんから預かった野菜の袋と、船窪小屋のお母さんや、スタッフの方々との会話の中に、大切なことは何かを、ごく短い時間の中で教えられた気がする。

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と、ベンチでくつろいでいたら、後から、七倉尾根を上がってきた登山者の方に声をかけられた。

おおっ!
一瞬、記憶が倒錯したのかと思ったが、なんと、先月南アルプスの山奥、二軒小屋ロッヂで同じ部屋だった方ではありませんか!

お互いに、このレアな山小屋での再会に驚き、思わず笑ってしまう。

この後、針ノ木方面から到着した方には、ベンチの横にくるなり、げんさんですよね? と声をかけられる。
先週放映になった、NHK−BSプレミアムのにっぽんトレッキング100を見てくださったらしい。

初めて来た山小屋なのに、なんかもう、常連な感じ(笑)

そんなこんなで、時間は過ぎ、今回の最大の目的、船窪小屋のおいしい山小屋ごはん。
お父さんが小屋の中のランプに灯をともし、ごはんの声がかかる。

囲炉裏端で、ごはんとお味噌汁の給仕をしてくださっているのは、他の山小屋でアルバイトをしていて、本日、種池山荘から、船窪小屋まで13時間縦走してきたという女性。
またまた鈴木みきさんの本の中の世界そのままのシーンだ。

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評判の船窪小屋のごはんは、山めし礼讃のほうで。

 船窪小屋の食事

おいしくて、心からほっこりする夕食の後は、お父さんお母さん、宿泊のお客さんで囲炉裏を囲んで、お茶会。

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ネパールティーが振舞われ、小屋の歴史のDVD上映にはじまり、宿泊のみなさんの自己紹介。
このランプの小屋の雰囲気なのか、お母さんお父さんの人柄ゆえか、常連さんも初めての人も、みんな訥々と山への思いや船窪小屋へ訪れたきっかけなどを話し出す。お母さんの挨拶があって、最後はボランティアのMさんによるアコーディオンの調べ。

切なく響く、アコーディオンのアンダンテカンタービレを聴きながら、山小屋の夜は更けていくのであった。

(つづく)

posted by げんさん at 04:54 | 東京 ☀ | Comment(4) | TrackBack(0) | 北アルプス 夏山 秋山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
早く行ってみたい小屋です。
そして、船窪から縦走の女性に会われたんですね!知人が登場してビックリしました。彼女は、さらに太平洋まで向かって歩き続ける、素敵な方です〜。
Posted by さら at 2016年09月07日 07:45
>さらさん
コメントありがとうございます!

あの女性、種池から13時間縦走してきて、山小屋で手伝いをしてらっしゃったのにもビックリしましたが、疲れた様子も一切見せず、てきぱきと、それでいて愛情のこもった応対をされていて、とっても感心というか、感動しておりました。
ほんとに素敵な方ですね。
Posted by げんさん at 2016年09月08日 07:40
小屋でお会いして、「何処かでお会いしたような気がします」と失礼な事、申し上げたフツツカ者です。教えて頂きました全てのブロブ、とても楽しく拝見させて頂きました。早速、ご著書も入手しましたので、山中、山上、山麓・・・でチャレンジしたいと思います。
燻製は先ずは調味料から・・。 燻製、山ごはん、そしてげんさんにお会い出来、山の新しい扉(好奇心)が少し開いたみたいは気がします。ありがとうございました。
Posted by mie-mie at 2016年09月08日 17:47
>mie-mieさん
コメントありがとうございます!

先日は船窪小屋で大変お世話になりました。
拙著もお買い上げいただき重ねて御礼申し上げます。

ぜひ、小屋の外でもおいしい山めしを。
またお会いできますのを楽しみにしております!
Posted by げんさん at 2016年09月08日 23:52
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