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2011年03月26日

一歩を越える勇気

このたびの大震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに
被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
自分にできること、節電や被災地の方々が必要とされるものが
優先的に回るよう配慮することはもちろんですが、
いまも原発の対応で苦闘されている方々のことを思うと胸が痛みます。

そんな中、東京にいる自分にできること、
日本が元気を失って、必要な復興支援が滞ったりすることのないよう
日々がんばっていくしかないと思っています。


長らく間が開いてしまいましたが、雪の三ツ頭を下山した後、
向かった稲子湯での話であります。

*****************************

一歩を越える勇気。
稲子湯でひとり静かにやりたかったこと。

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それはこの本を読むことと、いままでを振り返り、
そしてこの先の覚悟を決めること、だった。

山の一軒宿、稲子湯は雪の中。
そのしんと静まった稲子湯の一室で、一心不乱に読んだ。

栗城史多さんの「一歩を越える勇気」。
エベレストなう。で知られる栗城さんのことは、
山をやる人の中でも賛否両論、いろんな意見があることは承知しているし、
私もはじめてテレビで栗城さんのことを見たときには
少なからぬ違和感を覚えたものだ。

さて、「一歩を越える勇気」を読みながら、
私の頭の中では、もうひとつのことが整理されつつあった。

私にとって、昨年2010年は特別な年だった。
それまで10年間やりつづけてきた仕事に、ようやく光が見えた年。

10年前会社で一笑に付された夢。
だが、そのことにはじめて感謝をすることのできた年。

 “絶対にムリ。おまえは営業の基本を忘れたのか?
   新しい仕事にバッテキされて、ウカれているんじゃないか?”

そう言われて歯を食いしばってやってきた10年。
昨年、それははじめて芽を出した。

それまでは、夢を抱きつつも、現実にやらなくてはいけない仕事をこなし、
その「現実の仕事」の軋轢で苦しみぬいたときもあった。
山に行っては、その苦しみの脱出方法と、夢を実現するには
どうすればいいのかを自問自答しながら登っていた時期だ。

転機がおとずれたのは数年前。

それまでの「現実の仕事」の大半を置いて、
夢であった新仕事に特化して取組みをはじめたが
なかなか成果は出ず、焦りは増すばかり。

しかし、それまでのように「現実の仕事」に忙殺されているから・・
という逃げ道もなく、私自身のみならず数名のメンバーを
引き抜いて移ってきた新部署で、結果を出そうと
もがき続ける日々が続いた。

苦しみ、悩み続け、トライを重ねた3年間。
ついに、2010年になって、初めて「ビジネス」として
認められる成果があらわれる。

毎日あがってくる、わが目を疑うデータに、
メンバーとともに驚き、悦び、心を震わせた時期だった。

会社の数%から、数十%へ。
進化しようとしているこの仕事の役割を
今年はゆるぎのないものにする大プロジェクトが、
まさにはじまろうとしている。

その前に、これまでの10年間の、自分の心を振り返り
明日から訪れるであろう、新たな困難にブチあたる日々に
覚悟を決める一夜なのだ。

「一歩を越える勇気」で栗城史多は、
最初の海外遠征で周囲の猛反対をうける。
海外登山経験はおろか、海外への渡航さえ初めての
実績のない登山家が、単独無酸素でマッキンリーへ。

 「山頂に立った瞬間。今までの苦しみも悲しみも
  すべて喜びに変わっていった。
  そして『不可能』は自分の心が
  勝手につくっているだけだということを知った。
  僕は自分の殻を打ち破ることができたのだ」

私の仕事はもはや、単独登山ではない。
最初からチームをして頂を目指さなくてはならなかった。
3人だったチームが5人になり、いまや周囲で支えてくれる関係者は
きっと30人いや、50人を超えるだろう。

もう後戻りは許されない。
山頂を目指すのみなのだ。

そう、心に言い聞かすことのできた
稲子湯での一夜であった。

inakoyu20100305-002.jpg

「一歩を越える勇気」。

ありがとう。


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posted by げんさん at 12:36 | 東京 ☁ | Comment(6) | TrackBack(0) | 山のよもやま話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
げんさん こんにちは♪

栗城さんの本 私も読んでみたいなぁって
思っていたところでした
ある番組でそれまでの栗城さんの印象がすごく変わったので・・・

げんさんの仕事の話・・・
うまいことは言えませんが10年間の色々な葛藤との戦い・・・
振り返るといい時間だったと思えるようになってよかったですね!

一歩を越える勇気かぁ いい言葉ですね
はじめの一歩を踏み出す勇気が私も欲しいです(*^_^*)
Posted by 矢車草 at 2011年03月27日 13:38
一歩を超える勇気…

仕事でも何でも…そんな事無理だ、絶対出来ない!と感じてしまう時がありますね。
そこまで行かなくても、厳しいな…と。

でもそんな時私は「人間いつ死ぬか解からない。死ぬ時やっておけば良かったと後悔したくない!」と思います。
「本当に出来ないのか?あなたは120%…いや、300%、400%出し切ってやったのか?」と自分自身に問います。

単独ではなくチームを率いてとなると、さらに複雑でしょうね。
でも、…無理だと言われてた事に結果が出て来て、さらに高みを目指す。
なんと素敵な事なのでしょうか。
人生の中で最高の経験の一つを、まさに今体験してるんですね。

普通の人なら、色々、さらに多忙となり、それで流される事も増えて来がちと思いますが
げんさんなら、こうして山と言う自分の軸足の一つに立ち戻って考えられるから心配は無用ですね。
当分忙しさは増すかも知れませんが、健康に留意しつつ更なるご活躍を楽しみにしております。
Posted by akemi at 2011年03月27日 13:49
>矢車草さん
コメントありがとうございます!

栗城さんの本、NO LIMITも読みましたが、
私には「一歩を越える勇気」のほうがしっくりきました。

いままでもいろんな壁にあたってはきましたが
より大きな壁に挑戦できるような気がしてきました。
Posted by げんさん at 2011年03月28日 04:43
>akemiさん
コメントありがとうございます!

まだまだ経験不足、修行中の身ではありますが、
一歩を越える勇気を自分の習慣というか
信条にできれば、これほど強いことはない気がしています。

akemiさんのおっしゃるとおり、山と向き合っている時間、
稲子湯のようにひとり内省できるひとときが
より大切なことのように思えてきた今日このごろです。
Posted by げんさん at 2011年03月28日 04:47
いろいろご苦労があったんですね。
努力が実っていくことの喜びの大きさは
想像以上でしょうね。
いい温泉につかって至福のひととき、
それがあってまた頑張れますね。
私も早速この本読んでみます。
Posted by nousagi at 2011年03月28日 11:11
>nousagiさん
コメントありがとうございます!

まだまだこれからがスタートではありますが
内省する時間をもてたことで
心が定まった気がします。

初めての大きな山を登るとき
心のどこかにかすかな不安と、
未知なる景色への期待が交錯する気分、
ずっと昔の山の駆け出しの頃を思い出していました。
Posted by げんさん at 2011年03月29日 04:37
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