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2011年01月26日

鳳凰三山雪山のご来光へ

さて、南御室小屋のテント場で静かにシュラフの中で
撃沈して熟睡状態だったが、夜中にふと目を覚ますと、
耳を疑うような風の唸り声。

いったい天気は・・・?

南御室のテント場は、森の中に囲まれているので
いつも風が吹きつけず、静かな場所なのだが、
この日は夜中じゅう、上空で風が轟々と唸る音が聞こえていた。

4時半に起床するが、音は変わらず。
しかし、テントの外をのぞくと、星がキレイに見えている。

ん?

まっ、朝メシにすっか。

ということで、完全にコッヘルの中で凍っている前夜のシチューの残りを
バーナーにかけて、お湯を足し、昨夜から漬けておいた
アルファ米をブチ込んで、牛肉シチュー風味のリゾットを作る。

アツアツのリゾットで体もポカポカ、
凍りついたテントの外へでて、アイゼンを装着し、
準備運動をして、5:40に薬師岳を目指して出発。

まだ真っ暗だが、ヘッドランプの明かりで
勝手知ったる雪道をほいほいと登っていく。

森の中なので、風はあたらないのだが、
相変わらず、上空というか、森の上は風の音はすさまじく、
とりあえず夜明けの稜線をめざして登っていくが、
西側にひらけた個所では、大量の雪が雪崩のように
トレースにかぶさっていて、ルートがところどころ定かでない。

ピッケルを突き刺してルートを確認しつつ進むが、
少しでも外れると、ズボっとひざ上まで潜り
歩きにくいこと。。。

そうこうしているうちに、日の出直前に砂払岳の稜線に飛び出す。

とたんにものすごい西風。

慌てて岩陰に逃げ込むが、上空は晴れており、
せっかくのご来光を拝むため、砂払岳の頂上を目指すが、
開けた部分に出ると、ほとんど吹き飛ばされそうな勢い。

岩伝いに、風を除けつつ、かつ岩をしっかりと持って
飛ばされないよう、じりじり前進。

あと少しで頂上、というところで
どうしても西側の稜線にでないといけないところがあるのだが
そこで迂闊に一歩を踏み出したところ、
体がフワッと持ち上がり、ピッケルを刺す間もなく、
なんと、上方の岩に向かって吹き倒された。

その部分だけ、風が収斂して通り道になっているらしく、
引き返そうとしたが、体が下に向かって動けないのだ。。。

ジャケットのフードが煽られ、帽子の上にヘッドランプの
バンドがしっかりついているにもかかわらず、
もっていかれそうになったときは、さすがに閉口した。

わずかに風の呼吸が収まった瞬間に、ダッシュで下へ向かって駆け、
岩陰に転がり込む。

いやぁ、超あせった。。。

その瞬間に、ちょうどご来光。


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激しい動悸に襲われつつ、夢中でシャッター。


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雪は降っていないのだが、風に雪が煽られ、
こんな感じで目の前をスゴいスピードで駆け抜けていく。


ho20110118-204.jpg


ひえぇーーー。
朝から肝が冷える。。。

しばし、写真を撮りつつ、風が収まらないか
様子を見ていたのだが、なかなかどうして。

あそこさえ無事に追加すれば、あとはほとんど
稜線の東側がルートなので問題はないと思いつつ、
さきほどのフワッと体が浮いた感触がどうにも。

年初から山で事故っては、と登りたい気持ちを天秤にかけ、
最後は断念することにした。

稜線から樹林帯の道へと引き返す。


ho20110118-205.jpg


なんだか、さっきの光景が信じられないくらいの
おだやかな森の中に、ちょっと後悔しつつ、テントを撤収しに戻る。

15分ほど下ると、下から続々とパーティがあがってきた。

風にお気をつけてと挨拶をしつつ、
なんだかなぁ。。と、もしかすると日が昇ったら
風が弱まっているかも・・とかいろんなことが頭をめぐって
ちょっと意気消沈。

テントへ到着し、お茶を沸かして一息。

登りより、ビールやワインや食材の分、かなり軽くなっているはずなのだが
なんだか重いザックを担いで下山の途につく。


ho20110118-206.jpg


農鳥岳の姿が美しい。


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いつしか夜叉神峠が近付いてきた。


ho20110118-208.jpg


南アルプスの雪景色に最後のお別れを。


ho20110118-209.jpg


なにごともなかったかのように静まりかえる、
夜叉神峠入口の駐車場で冬山装備を解除。

今年の初冬山はこれにて終了なのだが、
これから一年の計を巡らせるため、向かったのは・・・

(つづく)


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posted by げんさん at 12:14 | 東京 ☀ | Comment(8) | TrackBack(0) | 南アルプス 冬山 春山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほど〜。
そういう事だったんですね!

…でも、「嫌な感じ」がした時は、自分の直感に従うに限ります。

山の事故のニュースを見ても「あれ?何でここを行っちゃったの?」
第三者の視点で見れば、結局その判断が原因なんですもの。
ご無事に帰られて、本当に良かったです。(^^)
その勇気ある撤退に拍手です!

…で。
続きがあるんですね。
楽しみです。(笑)
Posted by akemi at 2011年01月26日 13:28
はじめて書き込みさせていただくはさまと申します。げんさんの山料理のレシピがどれもおいしそうで何度も読ませていただきました。
私、山と溪谷社のアウトドア出版部の者なんですが、
今度、誌面でげんさんのレシピを紹介させていただけませんでしょうか?
もしご興味があるようでしたら一度メールをいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
Posted by はさま at 2011年01月26日 21:11
>akemiさん
コメントありがとうございます!

 > …でも、「嫌な感じ」がした時は、自分の直感に従うに限ります。

そうなんですよねー。
結果は誰にもわからないのですが、
雪山シーズンも何度も通いなれた鳳凰三山で
あんな感じに襲われたのはめったにないので・・
(大雪で撤退はやりましたけど・・笑)

続きもがんばりまーす。


Posted by げんさん at 2011年01月27日 04:47
>はさまさん
はじめまして。
コメントありがとうございます!

私のような山めしでよろしいのでしょうか・・・
恐縮ですが、ほんとであれば大変光栄なお話です。

のちほどご連絡させていただきます。
Posted by げんさん at 2011年01月27日 04:50
手に汗握るようなレポ拝見しながら、とってもドキドキしました。
特に標高が高い山は、スタートから登頂、下山まで天候の変化がすさまじいのと、予測も難しいため、今回のご判断、大変勉強になりました。
途中で断念せざるを得ないことは、残念きわまりなかったでしょうが、ご無事でなによりでした。
次回挑戦されるときは、2倍3倍爽快な気分を味わえるでしょうね!
きっと素敵な世界が見えると思います♪
Posted by とっきー at 2011年01月28日 10:54
>さきほどのフワッと体が浮いた感触がどうにも。

わかります。わたしもそれ体験してから、強風に対する恐怖がぬけません(汗)
特に風の通り道では、想像つかないくらいの威力ですよね。

先日の三ツ頭も結構な強風で・・・って、あそこはいつも風強いんですけど。雪少ないし、快晴なのに、風で飛ばされてくる雪でホワイトアウトしたときはひょえ〜って感じでしたよ(笑)。まっ、一瞬ですけどね。でも、条件のきびしくないところで(風に飛ばされてもまあなんとか助かるだろう場所)、たまに自然の威力を味わっていた方が、謙虚な気持ちをとりもどせてよいのかもしれないな〜とも思いました^^

しかし、風がなければ、抜群の景色でしたね^^
相変わらず、山メシもおされ〜☆
今年は燻製記だけでなく、山メシの方も発展しそうな気配ですね^^

遅くなりましたが、今年もよろしくですー
Posted by まゆ太 at 2011年01月29日 10:16
>とっきーさん
コメントありがとうございます!

ちょっと不甲斐ない雪山突撃でしたが、
まあ、こんなこともあります。
撤退には慣れているので・・(笑)
Posted by げんさん at 2011年01月29日 20:46
>まゆ太さん
コメントありがとうございます!

三つ頭・・・あそこも風強そうですね。
しかし、雪のあるシーズンにぜひ行きたい。
(タイヤも強化したことだし・・)

確かに。
山に対して、謙虚な気持ちになること大事ですね。
あっ、普段の行いもですが(笑)

山めしが陽の目を見るときがきたかな?

こちらこそ、今年もよろしくですー。
Posted by げんさん at 2011年01月29日 20:50
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