二十歳の頃のようにぐっすりと、深い眠りから覚めると、3時半。
昨夜の水炊き鍋にまたまたラーメンをほうりこみ、
アツアツの朝鍋をかきこんだら、一気にテントを撤収し
真っ暗な森の中を、高嶺にむけて歩き出す。
夜明けもまだ1時間以上先の樹林帯は、
ヘッドライトだけがたより。
ぐんぐん飛ばして、広河原峠を通過、
白鳳峠を越え、高嶺の登りにとりつくころ、
あたりが明るくなってきた。
昨日のピーカンとは打って変わり、
どんよりとした雲が上空を蔽っている。
これは日の出は期待できないなと思いながら歩いていると、
さっとあたりが紅につつまれたような錯覚におそわれる。
あっ、雲の間から光がさしたのだ。
北岳っ!

おおっ、甲斐駒っ!

ほんの一瞬だった。
私のいる高嶺の中腹では、影になって
この北岳や甲斐駒の山頂にちょうど朝日があたるところだけ
雲がきれていたらしい。
山が見せてくれた一瞬の素晴らしい光景に気をよくして
高嶺への道をひたすら登る。

高嶺到着、7:00。
雲が多く、スカッとはいかないが、二十歳の頃に歩いたときは
2日目の天気はガスガスで、このあたりの景色の記憶はない。

さて、いよいよ鳳凰三山へ。
最初に目指すは、あの地蔵岳だ。

30分あまり、砂の多い尾根をいくと、
目の前に地蔵岳のオベリスクが屹立。

いつ見てもいい眺めだ。
ここからはルンルン気分の鳳凰三山の稜線。
二十歳の頃はガスの中、始めてみるオベリスク以外は
展望もなく、しかし、未知の秋の山を歩いている興奮だけで
足どりも軽かったのだけは覚えている。
(小屋泊まりで身軽だったし。本体もやや身軽だったし・・笑)
観音岳への登り。

1時間弱で観音岳山頂到着。
富士山をバックに見る、薬師岳。
鳳凰三山で一番好きな眺めだ。

ああ、気持ちいい。
さて、ここまで開けずにもってきた、
私の山食お気に入り、アメーラルビンズ。
まるで宝石のような扱いのパッケージも、
山にもっていくにはうってつけ。
これお高いけどウマいのだ。

観音岳の山頂で、ティータイム。

糖度の高いアメーラルビンズの果実味と酸味が
口いっぱいにひろがり、
目の前の景色をみながら食すと、疲労も吹き飛ぶというものだ。
薬師岳山頂。

さあ、あとは夜叉神峠へ向けて、
この稜線の森の中を駆けていくだけだ。

南御室小屋をすぎて、苺平までの森の中で、
再び陽がさしてきた。

晩秋の鳳凰三山の森の空気をいっぱいにすいながら歩く。

秋も終わりですな。
当時はまだ10月中旬だったので、もっと紅葉は鮮やかな時期だった。
初めて見る南アルプスの紅葉に、それこそ葉っぱ一枚舞い落ちるだけで
心のどこかが琴なでられるような気がしたものだ。
霧の中でブロッケンもみて、興奮しながら歩いてたっけ。
いつしか晴れ渡った空を見上げながら、夜叉神峠で最後の休憩。

白根三山に別れを告げつつ、足任せに夜叉神峠入口へと下っていく。
最後は夜叉神の森の紅葉で14:00ちょうどにフィニッシュ。

あれ、小屋泊まり装備の二十歳の頃より、コースタイムは
圧倒的に早い。
二十歳のオレよ、おまえはまだまだ修行が足りんわ(笑)
・・・って、若い頃の自分に競ってどうすんのかね(苦笑)
いやはや、いやはや・・・・。
(早川尾根から鳳凰三山 完)
【早川尾根〜鳳凰三山 2日目 参考コースタイム】
早川尾根小屋 4:45 → 5:05 広河原峠 → 6:00 白鳳峠 → 7:00 高嶺 7:15
→ 7:50 地蔵岳 → 8:40 観音岳 9:00 → 9:30 薬師岳 →
10:20 南御室小屋 10:40 → 11:00 苺平 → 12:05 杖立峠 →
12:50 夜叉神峠 13:10 → 14:00 夜叉神峠入口駐車場
【お気に入りのアメーラルビンズ】
糖度10度フルーツトマト高糖度ミニトマト アメーラルビンズ
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とっても素敵に撮れてますね〜。
>二十歳のオレよ、おまえはまだまだ修行が足りんわ(笑)
荷物も本体も軽かったけど
きっと感動で一杯で足が進まなかったのかも〜。
二人並べて見てみたいです。(笑)
コメントありがとうございます!
どうも二十歳のほうが人気のようですね(爆)
コースタイム意識して、むきになっていたかも(笑)
南アルプスデビューがこのルートって、げんさんはこの頃から渋好み?(笑)
思考の整理学、家にあったので、読んでみることにしました。なかなかススマナソだけど(笑)
コメントありがとうございます!
この日はどうがんばっても、直接ご来光の見える場所は難しいな・・・
とおもっていたので、一瞬の輝きでしたがとっても幸運でした。
あの頃って、関西にいるとあまり南アルプスの情報がなくって、
比較的安全な早川尾根と鳳凰三山を選んだ覚えがあります。
でも、北岳が展望できるとか、森の中の静かな縦走路というのもやはり魅力だったかも。
思考の整理学、この前ご紹介した中では
一番の難関ですよ(笑)
今日も山の帰りの電車で、「文章を書く心」を
読み返していました〜
今日の山は、ちょっと紅葉の時期が遅かったのですが
来年は絶対に紅葉の時期に行こうと心に決めるほど
素晴らしく心に響く山道でした。
レポはまたこんど。
(次々回ですが・・・)
>この稜線の森の中を駆けていくだけだ。
テント泊装備で駆けてってなかなかのもんですけど
まさに駆け抜けましたね。さすがげんさん!
北岳と甲斐駒が素敵です。
ずっと見られたのではと思うくらい見事な一瞬ですね。
若かりし頃の自分と競う姿?成長した自分を見るって良いじゃないですか!こちらもお見事です(^^ゞ
20歳のげんさんが今のげんさんを見たら「やるじゃないか、自分!」って思うかもですね^^
コメントありがとうございます!
なんだか、ここ(鳳凰三山)にくると、
飛ばしてしまうのは、過去の自分を無意識の中で
意識してるんですかね〜。
脚力以外に成長しているかなぁ、と思いつつ
確かに体重は・・・
いやはや・・・笑
やはりsanawさんでしたか!
そうではないかと思いつつ(笑)