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2010年11月16日

早川尾根

早川尾根。


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この早川尾根を縦走したのは、二十歳のころ。
まだ、山も駆け出しで、多分初の南アルプスだった。

そのときも秋だった。
秋になると初めて秋山を縦走した、この早川尾根を
なつかしく思い出しては、登りたいと思っていたのだが
ついつい日程がとれずに、いつのまにかあのときの青年は・・・(以下略)



学生のころは大阪の実家だったので、南アルプスにくるのも一苦労。

そのときの山行記録にはこう書いてある。

 “早朝からひたすら列車を乗り継ぐ。腰と背中が痛むころ
  やっと伊那北駅に着いた。伊那北からバスで戸台口へ。
  バスはまさに生活者の足だ。いろんな人が乗っている。
  よそ者は自分ひとり。肩身が狭い。
  戸台口のバス停で下りたのは私ひとり。そこにはでーんと
  大きな橋がかかっているだけで、人家すら見えない。
  一瞬いやな予感がするが、ええいっとばかりバス道をすすむと
  ぽつんと旅館「出口屋」があった。”

ここで素朴な旅館に迎え入れてもらい、
12畳くらいの豪華な部屋に通されて、風呂をいただいたのを覚えている。

 “・・・朝からあまり食べていないので、腹が減る”

そんなにカネがなかったのか・・笑

 “根負けして行動食のお菓子でも食べようかと思ったそのとき
  夕食に呼ばれた。 「!」 すごかった。
  魚の塩焼き、マグロの刺身、ハムステーキ、ウインナー、
  ごぼうの和え物、きのこの酢の物、菜漬、・・・
  思わず腹いっぱい食べてしまった。
  明日への活力が湧いてくる。
  宿のおじさんは、口数は少ないが、とても親切だ。”

さて、二十歳のころこんなふうにはじまった早川尾根へのアプローチだが
いまや東京暮らしで、金曜日の夜に車を走らせ、境川PAで仮眠、
朝の5時には夜叉神峠入口の駐車場に到着して、
装備を整え、バスで広河原、北沢峠へ。

北沢峠は−5℃。
手がかじかむ寒さだ。


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ゆっくりと歩いて、北沢駒仙小屋のテント場へ。
すでに北沢駒仙小屋は小屋じまい。
水も止まっていたので、積雪期の水場
手前の林道の湧き水を少し汲んでいざ出発だ。


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20分ほど沢沿いを登ると、仙水小屋。
ここの水はうまいのだ。


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やがて仙水峠が見えてきた。


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ここから見る甲斐駒はいい眺めだ。
初めてここから甲斐駒ケ岳を見上げた二十歳の私は、
こんな風に書き留めていた。

 “仙水峠の手前で、とつぜん摩利支天の頭がとびだす。
  思わず足が早くなった。仙水峠から見る甲斐駒と摩利支天は、すさまじい。”

なんだか、初々しい(笑)


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峠でしばし甲斐駒を眺めながら休息。


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さて、ここから早川尾根のはじまりだ。

栗沢山に向かって、登り始める。


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雲ひとつない晴天、森の中も心地いい。


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1時間ほどで栗沢山の山頂に到着。
当時の私にはここはとてもつらい登りだったらしいが、
いまはなんということもない。

しかし、この栗沢山で初めて北岳をみたあのころの私は
そのつらさも吹っ飛んでいたようだ。

 “!!! ここでもでも体中に電流がはしる。北岳だ。
  うっすらと雪化粧している。 「Beautiful!」「Tre bien!」「美しい!」”

あ、青い・・・(汗)

しかし、この栗沢山は、この眺めのためだけに
登ってくる人も多いくらい、360度の開放感あふれる山頂。

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北岳。後ろは間ノ岳だ。


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さて、おにぎりで補給を終えると、
次に目指すはあの、アサヨ峰。


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写真で見るとけっこう楽勝に見えるのだが
アサヨ峰の手前は、結構岩が多く、
なかなか歯ごたえがある。

今日の予定は早川尾根小屋までなので、のんびりと景色を堪能しつつ、
1時間ほどでアサヨ峰到着。


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 “アサヨ峰でも頭を殴られたような衝撃。富士山・・・。
  雪をいただいた富士山を見たのは山を登って初めて。
  大きい。やはり日本一の山だと納得。”


当時、アサヨ峰の山頂で一人、じっと山の音に
耳を傾けていたのを覚えている。

風の音と、遠い沢の音だけの世界。
あの日の早川尾根と同じだ。

誰もいない早川尾根、アサヨ峰で
しばしぼーっとする。

ああ、これが南アルプスなのだ、そう体で感じていたことが
昨日のことのように甦ってきた。


さて、あとは早川尾根小屋までひとがんんばり。


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早川尾根小屋は、このアサヨ峰から、稜線の森の中に
小さく見えるのだが、思ったよりも遠い。

これでもかっ、と何度も下り、上り返し、
1時間くらいで着くかな、とナメてかかっていたら、
しっかり1時間50分ほど歩いて、
早川尾根小屋が林間に見えた。


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早川尾根小屋はすでに営業終了。
前回きたときには小屋泊まりだったのだが、
今回は誰もいないテント場に、今宵の宿を設営だ。


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さて、次回は静かな早川尾根小屋テント場での山メシである。

(つづく)


【早川尾根 1日目 参考コースタイム】
 境川SA 4:00 (車)→ 5:00 夜叉神峠入口(バス)5:25 → 6:10 広河原
  6:50(バス)→ 7:20 北沢峠 7:30 → 7:40 北沢駒仙小屋 7:50
  → 8:50 仙水峠 9:10 → 10:15 栗沢山 10:35 → 11:30 アサヨ峰 12:00
→ 13:50 早川尾根小屋 (テント泊)


posted by げんさん at 04:40 | 東京 ☀ | Comment(10) | TrackBack(0) | 南アルプス 夏山 秋山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
20歳のげんさん…可愛かったでしょうね。(笑)
大阪からこっちまで来る交通費だけでもかなりの出費。
やっぱりあまり食べてないのは経費の関係かな〜?
同じ場所に立てるのは幸せですね。
山メシ編、楽しみにしてま〜す♪
Posted by akemi at 2010年11月16日 10:23
20歳のげんさん、すごく純朴で素敵すぎます!
しかも、お若いときから文章がお上手だったのですね。
文章からお人柄が垣間見られました。

早川尾根。勉強不足でした。

私にとっては、ちょっとレベルが高いですが、
富士山を見ながら歩く尾根・・・

こんな素晴らしい尾根を私もいつか歩いてみたいと思いました。
Posted by とっきー at 2010年11月16日 13:12
げんさん、20歳の頃を追憶しながらの山歩き、さぞかし感慨深いものだったでしょうね。
それにしても健脚ですね〜(@_@)
今更気づいたわけではないですが(笑)
このコース私も気になっていたところでした。
私は十年以上前に三山から逆コースを仲間とのんびり2泊3日で歩いていますけど、それでも大変でした^^;
アサヨ峰ではガスガスで展望が全然見られなかったので、いつかまたいってみたいです。
今度行く時はもう気楽に、三山はパスですね(笑;
続き楽しみにしてますね。山飯も(^^♪
Posted by sanae at 2010年11月16日 19:24
夜叉神峠に車をデポしバスで広河原でしたかー。
早川尾根は行ったことが無いので是非行ってみたいです。(^^)/
テン場も南御室小屋のような静かな所ですねー。
Posted by ケン太 at 2010年11月17日 01:00
>akemiさん
コメントありがとうございます!

 > 大阪からこっちまで来る交通費だけでもかなりの出費。
> やっぱりあまり食べてないのは経費の関係かな〜?

当時の山行記録を見ると、駅で缶コーヒー100円也
まで経費計算に書いてありました(笑)
なんと、旅館も2食で5000円という破格なおねだんでしたよ。
Posted by げんさん at 2010年11月17日 04:40
>とっきーさん
コメントありがとうございます!

 > 20歳のげんさん、すごく純朴で素敵すぎます!
> しかも、お若いときから文章がお上手だったのですね。

ええ、純でした(爆)
文章については書くのが好きだったのですが
この続きにでも、ちょっと文章について
想い出したことがあるので、また書きますね。


Posted by げんさん at 2010年11月17日 04:42
>sanaeさん
コメントありがとうございます!

実は、二十歳の頃の行動予定は、
早川尾根と鳳凰三山を、2泊3日の予定になっていたのですが、
まっ、そこは若気の至りで(笑)
早川尾根小屋に泊まった翌日は、一気にすっ飛ばしていました。
Posted by げんさん at 2010年11月17日 04:45
>ケン太さん
コメントありがとうございます!

早川尾根、静かでいいですよー。
きっと夏は暑いので、雪のつく前の晩秋がおすすめです。
(紅葉ハイシーズンはかなりテン場も混むそうです)
ぜひぜひ、おでかけになってみてください。

Posted by げんさん at 2010年11月17日 04:47
げんさん、とっても素敵な記事ですー。ますます、げんさんにほの字ですよー
若きげんさんも素敵だったんだろうなぁ。

何とコメントしようかと考えてるとまた今さらコメントになりそうなんで、お昼休みにデスクから(笑)

早川尾根はわたしにとっても思い入れつよいので、若きげんさんといまのげんさんの感動がゾクゾク伝わってきます。

高嶺から三山にかけても、素晴らしい道ですから、続き楽しみにしてます!
Posted by まゆた at 2010年11月17日 12:49
>まゆたさん
コメントありがとうございます!

あ、朝から心拍数が・・
いまから冬富士でも登れそうです(笑)

ほんとにこの早川尾根は、静けさといい、
変化のある山道といい、素晴らしい景色も、
心打たれるものがありますよねー。

いただいた言葉と、二十歳の頃の想い出で
今日も一日がんばれますっ!
Posted by げんさん at 2010年11月18日 04:44
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